フォレンジック調査とは?種類や調査の内容、3つの注意点を解説!
フォレンジック調査とは何か気になるけれど、必要なの?
フォレンジック調査は、本当に実施すべき調査なのでしょうか?
今回は、フォレンジック調査の種類や内容について解説します。また、実施する際の3つの注意点もまとめました。
これを読めば、フォレンジック調査は必要だと思えて、実施するきっかけになり、より効率的なサイバー攻撃の対策ができるようになります。
先に結論を言うと、フォレンジック調査は、サイバー攻撃の原因を明らかにするために、必要かつ有効な手段であり、十分に実施する価値がありますよ。
フォレンジック調査とは?
フォレンジック調査とは、内部不正や情報漏洩などのインシデントが発生した際に行う鑑識調査のことを言います。
具体的には、不正行為の証拠を特定、収集、分析するプロセスを指し、法的な証拠としての価値がある情報を提供します。
近年、多発しているサイバー攻撃の被害を受けた際には、原因や犯人の特定を目的としてデジタルデータを扱うPCやサーバなどの機器、USBメモリやSDカードなどの記憶媒体を対象に調査を実施しなければなりません。
フォレンジック調査により、影響範囲や原因を特定することで関係者への適切な対応を行い、被害拡大を防ぐことにも繋がるため、定期的に実施するべきでしょう。
フォレンジック調査の種類
フォレンジック調査の中でも、デジタル環境における犯罪や内部不正などの原因究明を行う技術を「デジタルフォレンジック」と呼びます。近年、需要は増加しており、調査対象のデバイスによっていくつかの種類に分かれています。
では、フォレンジック調査の種類について、具体的に見ていきましょう。
コンピュータフォレンジック
コンピュータフォレンジックとは、不正アクセスや情報漏洩など、コンピュータ本体に記録された電子データを対象に行う調査のことを言います。
様々なコンピュータ犯罪の操作に導入されている他、裁判や訴訟においても信頼できる技術として広く活用されています。
例えば、HDDやSDDなどに保存されたデータやコンピュータ上で行われた操作の分析・解析、データの復元も行います。
状況によっては意図的に削除されたデータの復元も行い、不正操作が行われていたかについての証明も可能なため、有効な調査と言えるでしょう。
メモリフォレンジック
メモリフォレンジックとは、コンピュータシステムのメモリ内に保存されている情報に対して行う調査のことを言います。
メモリ内のプロセスを分析して不正なアクティビティを特定したり、暗号化されたデータを解析したりすることで原因を調査します。
例えば、メモリ上に記憶された悪意あるソフトウェアが外部に情報を流出させる手口の場合、メモリの記憶媒体上には記録が残らないことがあります。
メモリフォレンジックは、メモリ上の情報を保全し状況を分析する調査であるため、そのような手口に対して有効な手段と言えるでしょう。
モバイルフォレンジック
モバイルフォレンジックとは、スマホやタブレットなどのモバイルデバイスに保存されているデータに対して行う調査のことを言います。
デバイスのストレージやアプリケーション、通信履歴の収集・解析を行います。また、デバイスと関連するオンラインストレージやメールアカウントなどのクラウドサービスの情報も含まれます。
ただし、モバイル端末はPCとは大きく構造が異なりOSの更新も早いため、高度な技術力が必要です。
そのため、モバイルフォレンジックを実施する際は、あらかじめ調査内容を知っておきましょう。
ネットワークフォレンジック
ネットワークフォレンジックとは、インターネットでのダウンロード履歴やアクセス履歴などに対して行う調査のことを言います。
不正アクセスを検出するため、必要に応じて通信履歴の復元を行う他、不正アクセスの経路などを分析し、端末を絞り込むことで被害状況の解明に繋げます。
また、不正アクセスがあった場合には、どこからネットワークを経由したか形跡が残ります。
つまり、どのようなネットワークを介してアクセスが行われたかを解析できるため、不正アクセスを行った攻撃者を割り出すことが可能となるでしょう。
ファストフォレンジック
ファストフォレンジックは、迅速に結果を出すことを重視した手法になります。
インシデントが発生した状況ではスピーディーな対応が求められますが、従来のデジタルフォレンジックでは間に合わない場合があるからです。
通常のフォレンジック調査は多くの時間を必要としますが、ファストフォレンジックは端末から必要最低限のデータ抽出を行います。
近年はビッグデータ時代と呼ばれる程データが膨大になってきているため、短時間で適切かつ迅速な初動対応が必要な場合は、ファストフォレンジックを実施し迅速な対応を行いましょう。
フォレンジック調査の必要性
フォレンジック調査を行う主な目的は、内部不正や情報漏洩などのインシデントが発生した際に原因や経緯などを分析し、詳細を把握することです。
そして、調査すべき詳細が把握できると、何を起点にどのような過程を経てインシデントが発生したかが明らかになるため、以下のことに役立ちます。
・不正行為の原因究明
・不正行為に対する訴訟のための証拠収集
・犯罪や内部ポリシー違反の調査
・不正行為や情報漏洩の未然防止
このようにフォレンジック調査を実施すれば、真の原因究明によりインシデントの未然防止や再発防止に繋がるため、十分に必要性があると言えるでしょう。
フォレンジック調査の内容
内部不正などのインシデントが発生した際には、原因を特定するための検証作業を行わなければなりません。フォレンジック調査は主に、「証拠保全」「データの復旧・復元」「データの解析・分析」「報告」の4段階で行われます。
では、フォレンジック調査の内容について、具体的に見ていきましょう。
証拠保全
証拠データを法執行機関に提出する際、データの改変・改ざんが行われていないことを証明するための「証拠保全」が必要となります。
デジタルデータは重要な証拠となり得る一方で、誰でも容易に消去や改ざんが可能だからです。
そのため、対象となるデータを消去や改ざんしないように保存し、インシデント発生時の状況を把握しなければなりません。
内部不正などのインシデントが発生した際は、まず発生時の状況を把握し、関連するデータは全てコピーして保存するようにしましょう。
データの復旧・復元
証拠となり得るデータが削除されているまたは、機器自体が破損している場合、対象の機器からデータの復旧・復元を行います。
確実性の高い調査を行うためには、証拠保全による証拠の信憑性の有無が調査結果を大きく左右するからです。
そのため、破損したデータを復元したり、ファイルの構成を修復したりするなど、抽出データを証拠として使用できる状態に復旧しなければなりません。
もし、重要な証拠と思しきデータが削除されている場合には、履歴を調べてデータを復旧・復元しましょう。
データの解析・分析
復元したデータを解析・分析し、証拠となり得るデータの有無を確認します。
調査に関連する情報を抽出し、インシデントの原因を特定して検証するためです。
フォレンジック調査では、主に「サーバーログ」「ドキュメントの作成・保存履歴」「メールの送受信歴」「Webサイトの閲覧履歴」「不明なアプリケーションのインストール」のような内容を解析・分析することができます。
データを時系列に並べたり、グラフ化したりして可視化し、インシデントの原因を明らかにしましょう。
報告
調査結果の詳細をレポートにまとめ、提出します。
調査が完了すると、クライアント企業や関連する法的機関に報告するためのレポートが作成されます。
一般的にレポート内では、調査の過程や結果が具体的な証拠とともに提示され、今後のアクションや改善策の提案もなされます。また、インシデントによっては、一般ユーザーにも影響があるため、説明に不備がないよう影響に関しても報告しなければなりません。
明らかになった原因などの情報を元に調査結果をまとめ、レポートを提出しましょう。
フォレンジック調査を実施する際の3つの注意点
フォレンジック調査を実施する際には、以下3つの注意点があります。
・調査に時間がかかる
・効率化するためには費用がかかる
・二次被害の可能性がある
フォレンジック調査の一連の作業は、デジタル・法律など多岐にわたる専門知識が必要とされるため、難易度が高いことを知っておかなければなりません。では、それぞれの注意点について詳しく解説します。
調査に時間がかかる
1つ目の注意点は、調査に時間がかかることです。
なぜなら、分析するために膨大なデータを収集し、情報を整理する必要があるからです。
例えば、担当者が他の業務と兼務する場合、通常業務に加えて別途データを整理する時間を作るのはかなり骨が折れますよね。
デジタルデータが増加傾向にある昨今では担当者の負担も大きいため、時間短縮に特化した「ファスト・フォレンジック」の導入を検討することで、データ収集の自動化や効率化が期待できるでしょう。
効率化するためには費用がかかる
2つ目の注意点は、効率化するためには費用がかかることです。
なぜなら、調査の効率化が可能なツールや企業が提供している調査サービスを利用するには、高額になりがちだからです。
また、社員で実施しようとしても、調査を実施する人員と知識も一定以上必要なため、ある程度の費用が発生します。調査を実施したくても、コスト面で実施に踏み切れないケースも少なくありません。
調査するためのデジタル機器は、1台で数十万円かかるのが一般的であるため、導入する際は慎重に検討しましょう。
二次被害の可能性がある
3つ目の注意点は、二次被害の可能性があることです。
なぜなら、適切に調査できず、データの扱いにミスがあると二次被害を招く可能性があるからです。
例えば、自社で調査を実施する場合、知識やノウハウがなく、重要な証拠となるデータを上書きしてしまう可能性が考えられますよね。
自社で調査するには限界があるため、インシデント被害が発生した際には、すぐに調査が実施できるようフォレンジック調査会社をいくつか選んでおくと安心できるでしょう。
フォレンジック調査の費用相場
フォレンジック調査の費用相場は、機器一台につき数十万円〜数百万円かかるのが一般的と言われています。
なぜなら、調査目的や調査内容、調査端末の台数によって大きく変わってくるからです。また、人件費やデータ保全費用、調査費用、データ復旧費用などがかかる場合もあります。
さらに、フォレンジック調査会社の中には、法人の調査のみを対象としている会社も存在し、調査費用が数百万円以上に設定されている場合も珍しくはありません。
一方、個人でフォレンジック調査を行っているところでは、相談内容によっては費用を抑えられる場合もあるため、まずは一度、見積もりを依頼してみるのが良いでしょう。
まとめ
今回は、フォレンジック調査の種類や内容、実施する際の3つの注意点について解説しました。
サイバー攻撃などのインシデントが発生した際には、原因を特定したり、適切な対応をしなければならないため、前向きにフォレンジック調査の実施を検討していただきたいです。
フォレンジック調査の実施により、サイバー攻撃の原因を特定することが可能です。インフォシールド合同会社では、サイバーセキュリティに関するサービスの見積もりやサービス提供を行っております。
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